茨城の圏央道常総IC周辺地区において「食と農と健康の産業団地アグリサイエンスバレー事業」内の観光農園（空中いちご園）プロジェクトです。農園に連なる約１９万本のいちごのビニルハウスを景観の一つと捉え、「ビニルハウス・カフェ・販売スペース・食品加工・駐車場」、そしてその中間を建築でつなぐ三角の大屋根「GRAN GATE」と「道」を計画しました。GRAN GATEが内外空間を結ぶ中間領域となることで、ここに訪れた観光客や地域の人々を迎えるハブとなります。ビニルハウスに吸い込まれるようにGATEをくぐると、ビニルハウスと空の風景が広がります。

ビニルハウス内には昇降式の栽培棚があり、ベビーカー、車椅子での入園はもちろん、車椅子に座ったままでも気軽にいちご狩りが楽しめる施設です。

建物には屋上テラスを設け、日中の眺望を楽しみながらお茶やお酒を楽しめるだけでなく、冬にいちご栽培のための補光用照明を使用した際にも、光の農園としての景観を楽しむことが出来ます。幻想的に広がる景色も地域の象徴となり、敷地全体を「空・食・憩・癒」の要素を織り交ぜた体験型観光農園として、アグリサイエンスバレーの構想を建築でつなぎ、デザインを行いました。

歯科医院は、苦痛を伴う冷たい空間というイメージを持つことが多いが、このプロジェクトでは、自然豊かな周辺環境を取り込み、木立の中にいるようなやわらかい雰囲気と、移りゆく季節と景色を眺めることができる診療空間を実現しました

天井の木格子は、診療空間から見える景色と重なり、内部空間が外部まで広がっているような感覚をもたらします。一方、敷地周辺からは、ガラススクリーンの奥に格子が浮びあがり、空間が広がっていくような趣を持たせた設計としました。

診察台からは、四季や時間とともに美しくうつろう景色を見下ろす「内」にいながらも「外」を感じられるよう、四季折々の草花が植えられた庭園と、その先の公園を望めるように幅27mの大開口を設けました。スタッフが移動しやすいオープンな空間と、患者が穏やかな感覚を感じることができる包まれた空間の相反する二面性の両立を図るため、厚み105mm、高さ1,150mmの集成材の梁を、「診察ユニット」を基準単位とした2.4m間隔で格子に組み、構造体がユニットを緩やかに隔て、「半個室」で木に包まれているような安心感の中で受診できる歯科医院としています。